今回はアニメ『文豪とアルケミスト〜審判ノ歯車』第1話の内容と、アニメ内に出てくる文豪のエピソードをまとめました。
『文豪とアルケミスト〜審判ノ歯車』はアプリゲーム『文豪とアルケミスト』を原作としたアニメ作品で、2020年4月から放送されています。
アニメ化が発表された当初は、キャラデザがアプリとテイストの異なるものだったことでも話題になりました。
実際に放送されたアニメのネタバレと感想をまとめていきますので、アニメを見た方も、見ていないが気になっているという方もぜひ参考にしてみてください。
※以下の文章はネタバレを含みます。ご注意ください。
『文豪とアルケミスト〜審判ノ歯車〜』第1話 走れメロス あらすじ
その男は走った。自分の身代わりとして、磔となっている親友との約束を果たすために。しかし、友の元に戻れば自分が王に殺される…。男の心は揺れるが、走り続けて王宮へ戻れ、これはそういう物語だ、とけしかけてくる不思議な人物が現れる。幾多の困難を乗り越え、男は日没前に友が待つ王宮へとたどり着く。だが王は問う、その親友は本当に救うに値するのかと。王に促され、親友の顔を改めて確認しようとした男が見たものとは……。
https://anime-bungo-alchemist.com/story/9651fc38
『文豪とアルケミスト〜審判ノ歯車〜』第1話 走れメロス ネタバレ
走れメロス
古代ギリシャを思わせる景色のなかで、可憐な少女が結婚式をあげています。
こんな式を挙げることができたのは、たった一日で準備をしてくれた兄のおかげだと微笑む少女。
しかし、辺りを見渡すと、式を見守ってくれていたはずの兄がいなくなっています。
赤毛で左側に編み込みが入っている兄と思われる少年は、近くの道端で倒れ込んでいました。
そんな少年に向けて、いきなり謎の男性が現れます。
そして、少年が結婚式に浮かれ酒を飲んだことについて、これから十里の道を走り、友のいる王のもとまで走らなければいけない人間の行動としては、いかがなものか、と咎めます。
なぜその事情を知っているのかと困惑する少年に対し、謎の男は説明する時間が惜しいと言い、「走れ、メロス」と告げます。

いきなり、走れメロスの世界観でスタートするんですね!
赤髪で猫目のメロス、主人公オーラあふれる少年でかわいいです!そして謎の男性、めちゃくちゃイケボです。
メロスが走る理由
メロスと呼ばれた赤毛の少年は、民を苦しめている暴君である王を暗殺しようとしたところで、家臣に捕らえられ、処刑を告げられていました。
しかし、そこでメロスの友セリヌンティウスが現れます。
セリヌンティウスは、メロスには妹がいるので、処刑の前に一目妹会わせてあげてほしいと王に頼み込みました。
そんなことをすればメロスは逃げるに決まっているという王に対して、セリヌンティウスは自分がこの場に残るので、メロスが戻ってこなかった場合は代わりに殺せば良いという条件を提示しました。
そんな経緯があり、妹に最期に会うチャンスを与えられたメロスは、謎の男性と共に、王のもとへと走ります。
メロスは、最期に妹の笑顔を見ることができたものの、死ねばあの笑顔をもう見ることができないと思うと迷いが生じてしまったと謎の男に話します。
メロスが急ぐなか、ゆうゆうとしている謎の男性に対して苛立ちを覚えますが、謎の男性はこれはそういう物語である、と伝えます。
この妙な物言いや王との約束を知っていたことに不信感を覚えたメロスは、そのことについて問いました。
しかし、物事は外側にいるほうが全容をつかめる、というよくわからない答えしか返ってきません。
そして、謎の男性は王を殺そうとした行動について、感情的だと批判し、「メロスが激怒した」と煽ります。
しばらく歩いていると大きな河が二人の目の前に現れます。
打ちひしがれるメロスを横目に蜘蛛の糸という無敵な糸で、謎の男性は軽々と河を渡ってしまいました。
それを貸してほしいと頼むメロスでしたが、男性によって河に落とされ、メロスは自力で激流を乗り越えます。

感情的で人間味あふれるメロスと、その後ろを余裕たっぷりに馬車で移動している謎の男性、かなりシュールなシーンでした。
王のもとへ
その後、疲れ果てながらもメロスは走り続け、王のもとへと戻りました。
セリヌンティウスは処刑される寸前です。そんな友を見たメロスに対し、王は、この男は本当に救う価値のある友なのかと問いかけます。
それを聞いたメロスは、目の前にいるセリヌンティウスが、自分を裏切った存在であることを思い出しました。
王も、メロスが気づいたことをいいことに、この男はお前を裏切ったのだから、お前の手で殺してしまえとそそのかします。
刃物を持ち、セリヌンティウスに手をかけようとしたメロス。
その時、先ほどの謎の男性が突然現れ、メロスが持っていた刃物を突き飛ばします。
男性は、この物語を裏切りの物語へと改変することは容認できないと王に向かって語りました。
王とメロスが唖然としていると、王の臣下であった兵士たちが、黒くモヤモヤとした物体に変化していきます。王も黒い力をまとい、メロスに襲いかかります。
またしても、助けてくれたのは謎の男性でした。

激流のシーンから見当たらなかった謎の男性でしたが、ここでまた現れます!
メロスがセリヌンティウスのことを信じられず殺そうとしてしまったり、バトルシーンが入ってきたり、気になる展開になってきました!
太宰治と佐藤春夫
その瞬間、メロスは気を失います。その夢のなかで、少年は、太宰と呼ばれ、ベッドに寝ていました。
そしてその部屋にいたセリヌンティウスと同じ顔をした男に、自分は佐藤春夫であり、お前はその弟子である太宰治だと伝えられます。
そして、それを認識したメロスこと太宰は、自分が芥川賞を取れなかったことについて、佐藤春夫を問いただします。
太宰が芥川賞を取りたいということは、審査員であった佐藤春夫も知っていたはずであるのに、落選したり、選考にすらあがらなかったりしたのは、佐藤の裏切りのためではないかというのです。
そのせいで、人を信じることができなくなったという太宰。
しかし、佐藤は、作品は作品で、お前はお前であると太宰に告げます。

薄々気づいていましたが、この少年が太宰だったんですね!
そして、太宰が芥川にあこがれていたが賞を取れなかったという部分も史実にもとづいていますね。
本を改変する侵食者
先生!と叫びながら意識を取り戻した太宰は、先ほどの謎の男性と共にいました。
この状況について聞くと、ここは太宰治の執筆した『走れメロス』のなかであるという答えが返ってきました。
そして、本の中に取り込まれた文豪からは執筆した本についての記憶が消されているというのです。
謎の男性によると、世界には無数の本があるが、その本を消し去ろうとする『侵食者』というものがいて、侵食者の標的となった本には、その作者の魂が取り込まれてしまうとのことでした。
そして侵食者は本の内容を改変させ、最後には消してしまうというのです。
その事実を聞いた太宰は混乱しますが、謎の男性にその化け物を倒す方法について聞きます。

場面の切り替えが激しいので少しわかりにくかったですが、本の中の世界に作者である太宰が入ってしまって、そのなかで回想しているというシーンだったようです。
そして、侵食者がこの世界観における敵ということで、少し理解ができました。
佐藤春夫との和解
その時、セリヌンティウスであった佐藤春夫は火に囚われ、死ぬ寸前でした。
その佐藤のもとに、太宰を向かわせ、『走れメロス』の主題である信じることをこの物語のなかで完遂すれば良いと伝えます。
火のもとへいくと、黒いオーラをまとい、侵食者に支配されていると思われる王が掴みかかってきます。
作者は自分の本のなかでは死ぬことがないようですが、そうではない謎の男性も、一緒になって侵食者である王と戦います。
その場から侵食者が消えたところで、太宰は再び佐藤のもとへ向かいました。自分は、芥川賞を取らせてくれなかった佐藤の裏切りにより、二度と人を信じることができないほど、傷ついたと伝えます。
しかし、佐藤は太宰を裏切ったわけではありませんでした。
佐藤は芥川賞の審査員ではあったものの、他にも審査員がいたので、いくら太宰の作品を素晴らしいと思っていても、賞を与えることは叶いませんでした。
太宰もそんな佐藤の想いと、佐藤が太宰が今後より素晴らしい作品を執筆すると信じ、願っていたということを、わかってはいたのでした。
しかし、そんな佐藤のことを心から信じ切ることはできなかったのです。
太宰はそんな自分自身の弱さを自覚しながら、自分が現実ではできなかった「信じる」ということをこのメロスの物語に託したのでした。
そして、太宰はセリヌンティウスとして縛られていた佐藤の手の縄をほどき、「待たせてすまない、友よ」と佐藤を抱きしめました。

侵略者に惑わされず、物語を本来の方向に動かすことができれば、本を守ることができるということなんですね。
しかし、作者自身は本の内容が記憶から無くなってしまっているということで、今後難しい場面も出てくるかもしれません。
謎の男性のバトルシーンもかっこよかったです。
本の世界からの解放
一方で謎の男は、王の姿から鎧を被った牛のような姿に完全に変化していた侵食者と戦っています。
しかし、太宰によって信頼の物語が完成したので、この時点で侵食者の負けとなりました。
負けを認めない侵食者のもとに、太宰が乗り込みます。
太宰は、メロスの服装から、マントを羽織った騎士のような姿に変身し、侵食者に立ち向かいました。
そして、侵食者にとどめを刺した太宰。
謎の男性にも別れを告げられ、太宰は気を失います。
目を覚ますと、太宰は見知らぬ館におり、別れたはずの男性もそこにいました。
男性は、先ほどの別れは、本の世界との別れに過ぎないと伝え、ここは自分たちの住居であり基地だと太宰に教えます。
侵食者を倒すとそこに囚われていた文豪は解き放たれるというのです。
男性に連れられ、館長室に向かうと、館長代理で自分たちの上官でもある、言葉を話す猫に出会います。
その猫によると、ここにいる太宰は「太宰であって、太宰でない」思念体のようなものであるとのことでした。
そうでなければ、世代の違う文豪が一同に集うはずがないと、謎の男性も話します。
そして太宰が本のなかで見た佐藤春夫も、侵食者が太宰の記憶を使って生み出した幻影であったということでした。
侵食者の目的はわからないものの、本が侵食されていくのを黙ってみてれば、人を豊かにする文化が途絶えてしまうので、それを防ぐために文学を綴ってきた文豪たちが戦わなくてはいけない、それがここに集められた文豪たちの使命なのです。
猫が説明をしたあと、謎の男性に対して、芥川と呼びかけました。
その男性こそが、太宰の憧れていた芥川龍之介先生だったと知った太宰は驚きます。

太宰の変身シーン、そして変身後の衣装かっこよかったですね!
そしてイケボの謎の男性が芥川龍之介だったんですね。
ちなみに声をあてているのは諏訪部順一さんで納得の素敵な声です。
これから個性豊かな文豪(の思念体)が出てくると思うと楽しみです!
感想
文アルは原作アプリをきちんとプレイしたことがなく、ほぼ初見だったのですが、豪華な声優陣や作画の良さで楽しく見ることができました。
実在の人物をモデルにしつつも、文豪本人ではなく思念体という設定にすることで、実際のエピソードを盛り込みながらも、上手く魅力的なキャラクターを作り上げているような印象を受けました。
原作アプリに出てくるキャラクター数はとても多いですが、アニメ出てくるキャラは厳選されているのでしょうか。
そのあたりも含め、今後の放送に注目していきたいと思います。
実在の文豪や小説の内容との違いは?
実在の物語や人物を基にした作品である『文豪とアルケミスト〜審判ノ歯車〜』ですが、共通点や相違点について調べてみました。
『走れメロス』原作との違い
実際の『走れメロス』の内容を知っている人も多いと思いますが、ここで相違点をまとめてみます。
セリヌンティウスがメロスの代わりに王のもとに捕らわれ、メロスがセリヌンティウスを裏切らないように、途中で挫折しながらも必死で走っていくという大まかなストーリーについては、アニメでも再現されていました。
実際の『走れメロス』のストーリーとの違いとしては、
- アニメ内のメロスは、酒を飲んだり、激流を前に大げさにもう無理だと言ってみたりと少し誠意の足りないような印象だった
という点があげられます。
この変更は、ストーリー状やキャラとしての太宰の性質上の演出ですね。
そして、当然ではありますが、結末も実際とは異なっています。
下記が実際の『走れメロス』の結末です。
激流や盗賊などとの対峙によって、疲労困憊してしまい、一度は王のもとに戻ることを諦めかけたメロスが、湧き水によって力を取り戻し、無事に時間通りに戻る。
メロスは、セリヌンティウスに、一度だけ戻るのを諦めて、裏切ろうとしてしまったことを正直に告げる。そして、セリヌンティウスも、メロスが戻ってこないのではないかと一度だけ疑ってしまった瞬間があったことを告げる。
こうして人を信じるという行為を目の当たりにした王が、それに感銘を受け、二人とも釈放される。
太宰治と佐藤春夫、芥川龍之介との関係
- 太宰治が佐藤春夫の弟子の一人であったこと
- 太宰治が芥川の大ファンで芥川賞を欲しがっていたこと
- 佐藤春夫が芥川賞の選考委員の一人であり、太宰に懇願されていたこと
など様々な点は史実に基づいています。
実際の太宰にも以下のようなエピソードがあります。
第一回の芥川賞で、選考委員だった佐藤が太宰の作品を推薦します。ノミネートに喜んだ太宰は、佐藤に喜びを綴った手紙を送ります。
しかし、川端康成が、太宰の問題有りな私生活を理由にそれに反対し、太宰は芥川賞を逃しました。
それに怒った太宰は、川端に反論しつつ、佐藤にも賞をとらせてほしいという旨の手紙を送ります。
その手紙の現物は2014年に見つかっていますが、なんと4メートルにも及ぶ超長文!
しかし結局太宰は芥川賞を受賞することはできず、佐藤のことを逆恨みしたのでした。
アニメとの違いとしては、実際の佐藤春夫は太宰の才能を認めていたのは事実ですが、弟子を信じる心優しい師匠というような人物ではなかったということではないでしょうか。
走れメロスを書いたきっかけ
アニメでは、佐藤春夫のことを信じることができなかった自分とは逆の人物像を描いたのが「走れメロス」の物語であるかのように書かれています。
しかし、「走れメロス」を書いたきっかけとなっていると言われるエピソードは別にあるようです。
太宰治の友人で作家でもあった檀一雄は、熱海で執筆作業に勤しんでいた太宰のもとに、太宰の妻から頼まれ、お金を届けに行きます。
太宰は檀を迎え入れ、一緒に飲んだことで、せっかく届けてもらったお金を使い果たしてしまい、宿の料金を支払えません。
困った太宰は、菊池寛のところへ金を借りに行くといい、その保証として、壇を熱海においていきます。
しかし、太宰は一向に戻ってきません。
東京に戻った壇は、太宰を探しますが、太宰は井伏鱒二と将棋をしていました。
起こった壇に対し、太宰は、「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」と言ったと言われています。
檀一雄の著作『小説 太宰治』で、壇自身が、この熱海での出来事が『走れメロス』を執筆するきっかけになったのではないかと言及しています。
『文豪とアルケミスト〜審判ノ歯車〜』第1話 走れメロス の配信サイト
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