あなたは赦す?赦さない?
『愛言葉』『二息歩行』『ゴーストルール』など数多くの名曲を残し、ボカロPとしてだけでなく、さまざまなアーティストへの楽曲制作でも知られるDECO*27(デコ・ニーナ)さん。
アニメ化もされたRPGゲーム『Caligula-カリギュラ-』の原案でもある、心理学士を持つクリエイターの山中 拓也さん。
この二人がタッグを組んだ音楽プロジェクトの『MILGRAM-ミルグラム-』が話題を集めています。
世界観を説明すると、舞台は監獄『ミルグラム』で、私達は記憶を失った看守。
10人の囚人の過去や罪を、曲から読み取り、罰を与えるか否かを投票していく、視聴者参加型プロジェクトです。
視聴者参加型プロジェクトといえば、人気投票ではよく使われていますが、審判を委ねられるという、斬新で興味をそそられる企画ですね。
CDや配信で曲やPVを楽しみ、そこから囚人たちの過去について考察し、彼ら一人ひとりに対して、投票をすることができます。
投票は無料で、TwitterまたはLINEを連携した形で、1日1回で投票できる仕組み。
また、アプリをダウンロードし、有料会員になると、アプリ内のタイムライン上で囚人たちのやり取りを読むことがき、より核心に近づくことができます。
審判は3段階によって行われ、『赦す』『赦さない』という二択によって、囚人たちに待ち受ける未来は我々に委ねられているというのです。
山中さんがTwitterで書かれていますが、音楽プロジェクトではありながらも、ただ受容するだけでなく、プレイヤーとなって能動的に選択していくような、そんなワクワク企画です!
といっても、扱っている題材は、死にまつわる罪と罰。
フィクションでは往々にして扱われている題材ではありますが、参加型プロジェクトになっていることで、私たちも部外者ではいられません。
そんなところに、このプロジェクトの奥深さがありそうです。

きっと考察好き系のオタクにはたまらない。
そうでなくても、DECO*27さんの曲が続々と発表されるだけで楽しみ。
『MILGRAM-ミルグラム-』豪華な声優陣に注目!
すでに第1審となる1弾のトレーラーが公開されており、声優さんたちによる、楽曲の一部を聴くことができます。
そして、CDや配信では、『MILGRAM-ミルグラム-』オリジナル曲だけでなく、DECO*27さんのヒット曲のカバーも同時収録されています。
すでに販売、発売されているCDでは、エス(CV:天海 由梨奈)が『ヒバナ』を、ハルカ(CV:堀江 瞬)が『二息歩行』をカバー。
キャラクターとしてではありますが、声優さんの『歌ってみた』を聴けるというような楽しみもありますね!
キャラ | キャスト | 役柄 |
エス | 天海 由梨奈 | 視聴者のポジションとなる看守 |
ジャッカロープ | 福山 潤 | ツノの生えたウサギで、ミルグラムの看守で世話役的な存在 |
ハルカ/櫻井 遥 | 堀江 瞬 | 1番目の囚人。物静かな17歳。 |
ユノ/樫木 優乃 | 相坂 優歌 | 2番目の囚人。美少女JKな18歳。 |
フータ/梶山 風汰 | ランズベリー・アーサー | 3番目の囚人。気性の荒い20歳。 |
ムウ/楠 夢羽 | 香里 有佐 | 4番目の囚人。儚げだがハッキリした性格の16歳。 |
シドウ/桐崎 獅童 | 仲村 宗悟 | 5番目の囚人。落ち着いた29歳。 |
マヒル/椎名 真昼 | 岡咲 美保 | 6番目の囚人。明るく癒やし系な22歳。 |
カズイ/椋原 一威 | 竹内 良太 | 7番目の囚人。飄々とした大人の39歳。 |
アマネ/ 桃瀬 遍 | 田中 美海 | 8番目の囚人。最年少だが大人びている12歳。 |
ミコト/榧野 尊 | 花江 夏樹 | 9番目の囚人。常識人な23歳。 |
コトコ/杠 琴子 | 愛美 | 10番目の囚人。クールで理性的な20歳。 |

堀江瞬さんは、最近とても好きな声優さん!
地声は高めでかわいいのですが、低くて迫力のある声や、色気のある女性的な声など声の振り幅が大きく、演技力も高いので、いろんな作品で違う魅力をみせてくれるなと思います!
『MILGRAM-ミルグラム-』の名前の由来?ミルグラム実験とは
山中 拓也さん原案の『Caligula-カリギュラ-』では、ストーリー中に心理学の専門用語がたくさん出てきました。
このミルグラムという単語も、ミルグラム実験という有名な実験で聞いたことがあることが多いのではないでしょうか。
ミルグラム実験とは
アイヒマン実験とも呼ばれるこの実験は、端的にいうと、権力のある人に指示をされている状況では、人は他人に対して、ひどいことをしてしまうということを証明した実験です。
この実験では、被験者が教師役と生徒役にわかれ、お互いに声のみが聞こえるように隔離されます。
そして、生徒役の人が問題を間違えると、教師役は罰として電流を流さなくてはいけません。
罰を与えると、生徒役の人の悲鳴が聞こえてきます。
きっとそんな状況になったら、教師役の人は、良心が痛み、実験の中止を求めるはず。
しかし、実際には、電流を流すように指示されているため、それが酷いことだとわかっていても、中止するための強い意思を持てず、続けてしまうのです。
※これは実験なので、実際に電流は流れておらず、電流を流されて苦しんでいる音声が聞こえてくるという仕様です。
『MILGRAM-ミルグラム-』と同じ監獄設定のスタンフォード監獄実験とは

また、これに近い実験にスタンフォード監獄実験というものがあります。
これは、看守と囚人に振り分けられた被験者たちが、リアルな刑務所のセットのもと、実際の看守と囚人の生活や関係性を演じるという実験です。
この実験で看守役に振り分けられた人は、役の範囲を超えて、囚人に対して、暴力的な罰を与えたり、凶暴な行動をとったりするようになりました。
これもまた、普通の人であっても、人を管理したり、罰を与えたりするような状況におかれると、もとの性格ではできないような冷酷なことも行ってしまうということを表しています。
こちらの実験は、監獄という設定なので、『MILGRAM-ミルグラム-』により近いかもしれません。
『MILGRAM-ミルグラム-』世界観の考察
以上をもとに、このプロジェクトに『ミルグラム』という名前が使われていることについて、私なりに考えてみました。
ボイスドラマを聴くと、このエスには、時に威圧的で囚人たちを見下すような発言が見られます。
その威圧的な態度は、上記実験のような、裁く側に立つ者たちが、善悪の判別を放棄して、言われるがままに罰を与えてしまう人間の性質を表しているようにも思えないでしょうか。
エスの性別不明で記憶喪失という設定ですが、特定の性質を持たせないことにより、誰しもが自己投影できるようにする役割もあるかもしれません。
しかし、ひょっとしたら、主人公自体が誰よりも悪で、罪を犯しているというような結末も考えられるのかなと思います。
また、ミルグラム実験は、『なぜ第二次世界大戦中のナチスドイツがユダヤ人を虐殺したのか』という疑問が発端となっているとのこと。
ユダヤ人虐殺の指揮をしたアイヒマンは、いかにも普通な人でした。
普通の人でも、状況によっては、残酷なことを考え、人を殺してしまうかもしれない。
『MILGRAM-ミルグラム-』の囚人のなかにも、やむを得ない理由で人を殺してしまったことがいると思われます。
なぜ人が悪に染まってしまうのか、そもそもどこからが悪なのか、という問題提起にもなっているかもしれません。
普段ニュースでいろいろな事件を知っても、考えさせられることが多々ありますが、罪と罰を主題にしているフィクションの作品だからこそ、改めて自分の考えに気付かされるということがあるのではないでしょうか。
『MILGRAM-ミルグラム-』は何重にも見ることができてハマりそう
『MILGRAM-ミルグラム-』はきちんと考察したり、自分の価値観を見直したり、という楽しみ方もできるでしょうが、イラストや曲など、なんとなくいいな、というだけでも楽しめそうなコンテンツです。
ハルカ(CV:堀江 瞬)の曲とボイスドラマを聞いてとてもテンションがあがっているので、今後は囚人それぞれについて考察する記事も書いていきたいです。
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